【11月18日 AFP】外科医が肺の移植手術にかけられる時間を、現在の数時間からその倍近くに延ばすことのできる新たな技術が開発されたとする研究論文が18日、発表された。論文は、より多くの命を救う望みが高まるとしている。

 肺移植では通常、肺が臓器提供者から摘出されてから約6時間以内に移植手術を完了しなければならない。細胞組織が破壊されていくためで、スピードは肺移植にとって非常に重要な要素となっている。

 しかし、体外肺灌(かん)流(EVLP)と呼ばれるプロセスを使った新たな方法では、移植患者の最終的な生存率を著しく低下させることなく、肺を12時間以上体外で保存できる。

 EVLPを使ったプロセスは、臓器提供者から摘出された肺を直ちに氷で冷やして手術の行われる施設に搬送し、搬送先施設で肺を温めると同時に酸素、栄養分、タンパク質などが豊富に含まれた液体を肺に送り続けるというもの。

 呼吸器医学の専門誌「ランセット・レスピラトリー・メディシン(The Lancet Respiratory Medicine)」に掲載された論文によると、これまでは遠方の臓器提供者から臓器を提供してもらうことができなかったが、保存可能な時間が延び、そうした臓器を移植患者に提供できるようになれば、より多くの移植手術を行えるようになる可能性もあるという。

 臓器が移植患者の元に届くかどうかは、移植リストに掲載された人々にとって生きるか死ぬかの大問題だ。こうした人々の数は、米国とカナダだけでも約1700人に上る。(c)AFP