【11月16日 AFP】電気代が高騰するスペインで、電気を止められて照明代わりに使用していたろうそくが原因の火事で高齢女性が死亡したことから、「エネルギー貧困」を象徴する事故として激しい怒りが巻き起こっている。

 死亡したのはスペイン北東部レウス(Reus)のアパートに孫娘と同居していた81歳の女性。地元警察などによると13日夜、女性はアパートでろうそくをともして明かりをとっていたが、その1つがマットレスに引火。女性は逃げようとしたが煙を吸い込んで死亡した。女性は電気料金の支払いを滞納したため、2か月前から電力供給を止められていたという。

 この火災のニュースは全国紙エル・パイス(El Pais)など各紙が1面で伝え、公共テレビTVEもトップニュース扱いで報じた。

 公式統計によればスペインでは2006年~15年、電力料金が56%も急騰。ガス料金も28%、水道料金は43%も上昇している。スペインの消費者団体ファクア(FACUA)によると、スペインの電力大手2社、エンデサ(Endesa)とイベルドローラ(Iberdrola)が電気料金の支払い滞納を理由に昨年、電力供給を停止した顧客は50万6481件で、前年比で5.9%増えている。 

 環境グループ「サイエンス・アンド・ザ・エンバイロメント(Science and the Environment)」の主張では、人口4600万人のスペインにおいて部屋の暖房が十分でなかったり電気代の支払いに苦慮したりしている「エネルギー貧困者」は400万~700万人にのぼる。(c)AFP