【10月25日 AFP】サッカーのヘディングは脳の機能や記憶力に大きな影響を与えるとする研究結果を、英スコットランド(Scotland)スターリング大学(University of Stirling)の研究チームが発表した。

 学術誌「EBioMedicine」に掲載された研究によると、ヘディングをした直後の選手の記憶力は、41~67%低下したという。その影響は24時間が経過すると徐々に消えた。

 今回の研究は、脳振とうなどの脳外傷ではなく、サッカー選手が日々頭部に受けている衝撃が、直後に脳へ与える影響を調査した初めての例とされる。

 研究チームは機械を使ってコーナーキックに似せたボールを放ち、被験者の選手たちにそれぞれ20回、ヘディングをしてもらった。

 同大の認知神経科学者マグダレナ・イエツワート(Magdalena Ietswaart)氏は「ヘディングをした直後に脳の機能が抑制され、記憶力テストの結果が著しく低下した」と24日、英公共放送BBCに語った。脳の変化は一時的なものだが、サッカーのヘディングのように、これを繰り返すことで脳の健康に大きな影響を与えると考えられるという。

 近年の複数の研究によって、サッカーボールを繰り返しヘディングすることによる影響への懸念は高まっており、特に引退した元選手に注目が注がれている。

 今年5月、イングランドサッカー協会(FA)は、ヘディングと脳疾患につながりがある可能性を示唆したある研究に正当性があるとの見解を示した。

 ヘディングのうまさで知られたイングランド・プレミアリーグ、ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン(West Bromwich AlbionWBA)の元センターフォワード、ジェフ・アッスル(Jeff Astle)は、2002年に59歳の若さで亡くなったが、検視で「職業外傷による死」と認められた。ただし、アッスルの現役時代の大半の期間に使用されていた当時のボールは、現在のボールに比べてかなり重かった。

 スコットランドサッカー協会(SFA)の元会長ゴードン・スミス(Gordon Smith)氏は、ジュニア選手のヘディングを禁止している米国の例に倣うことも検討すべきだと指摘。「幼い子どもたちに後になってどんな影響が出ることもないよう、特定の年齢層にはヘディングをやめさせるべきだ」とBBCに語っている。(c)AFP