【9月30日 AFP】世界保健機関(WHO)は29日、世界的に年齢差別が広がっているとの調査結果を発表した。同時に、年をとるのを恐れると寿命が短くなるとする別の研究を紹介した。

 世界的な年齢差別に関するものとしては初めてとなるWHOの調査には、57か国の18歳以上の人、8万3000人あまりが回答した。回答者の60%が高齢者は「尊重されていない」と思うと答えた。高齢者に対する否定的な傾向は、富裕国でより顕著だった。

 WHOの高齢化とライフコース(Ageing and Life Course)担当部長のジョン・ビアード(John Beard)氏は、調査結果は「年齢差別が著しく広まっている」ことを示しているとし、高齢者に対する差別的で否定的な見方は若年層を含め、広範囲の影響を及ぼしかねないと警告した。

 さらに、「自らが年をとることに否定的な見方をする人は肯定的な見方をする人と比べて障害から回復せず、寿命が平均7.5年短い」と、最近発表された研究を引き合いに出した。

 高齢化に対する人々の態度は、20年から40年前の人種や性別による差別と同じ水準だとビアード氏は指摘する。

 こうした差別の対象とされる可能性があるのは求職中の50歳や、定年退職を迎えつつも生産性の高い65歳などで、同氏は定年退職のような強制的な年齢規定の制度には「問題がある」として反対の姿勢を示した。

 WHOによると、60歳超人口は現在世界で推計6億人、2025年には2倍、2050年には20億人を突破する見通し。今回の調査はこの種のものとしては初めてのため、年齢に対する態度の経年変化を追跡するのは難しいが、年齢差別が高まっている証拠はあるという。(c)AFP