【7月30日 AFP】米南部フロリダ(Florida)州の保健衛生当局は29日、同州で最近発生したジカウイルス感染例4例が、地域に生息する蚊によって媒介された可能性が高いと発表した。ジカウイルスの爆発的な感染拡大が新しい局面を迎えたことになる。

 胎児の先天性異常などを引き起こすジカウイルスは、これまで米国本土で1600件以上の感染症例が報告されてきた。そのほとんどはジカ熱の流行地域を旅行中に感染した人々が同国内に持ち込んだもので、他に少数の性的感染のケースが報告されていた。

 フロリダ州保健衛生当局は声明を発表し、過去2週間に同州のマイアミデード(Miami-Dade)とブロワード(Broward)両郡で発生したジカウイルス感染例4件が「地元で感染した結果」である可能性がかなり高いとした上で、「保健衛生局では今のところ、ジカウイルス感染がマイアミデード郡中心部の北にある狭い地域で発生しているとみている」と述べた。

 米疾病対策センター(CDC)はフロリダ州の感染例について既に確認しており、「地域の蚊によるジカウイルス感染例としては米国本土で初の例だとみられる」と述べた。

 CDCのトム・フリーデン(Tom Frieden)所長は声明で、感染発生地域への旅行制限は現在のところ予定されておらず、「CDCが把握している証拠から判断すると、(感染4件は)数週間前にマイアミ(Miami)市内の数ブロックの範囲で蚊が媒介したものだ」「ネッタイシマカ(学名:Aedes aegypti)が生息する地域の人々、特に妊婦は、蚊に刺されないよう対策を取ることを引き続き勧めていく」と述べた。

 リック・スコット(Rick Scott)フロリダ州知事は記者会見で、感染者のうち1人が女性で、残りの3人は男性だと述べ、「感染例は全て現在進行中のものだが、いずれの患者にも入院が必要になるような症状は出ていない」と述べた。

 保健衛生当局によると、現在のところ、ジカウイルス感染が確認された同州南部の狭い地域で蚊の調査は行われていないという。

 ジカウイルスは蚊、または性的感染によって感染し、妊婦が感染した場合は胎児の頭部と脳が異常に小さい状態で生まれる小頭症という先天性異常のリスクが高まる。

 フロリダ州では現在までに約400件のジカウイルス感染例が確認されていたが、これまでの症例は全てジカ熱が流行している他の地域に旅行した人が関係していた。

 米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)所長によると、過去1年では米国内全体で旅行者のジカウイルス感染が1657件発生しており、うち433件は妊婦が関係していた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN