【7月24日 AFP】インド北部ウッタルプラデシュ(Uttar Pradesh)州で今週、若者が家族や親族らによって殺害された疑いのある事件が相次いで3件発生した。警察が23日、発表した。いずれの事件も「名誉殺人」の可能性があるという。

 同州のシャムリ(Shamli)県では22日、ヒンズー教徒の女性(19)と恋人の男性(23)を殺害した疑いで、女性の父親と兄弟が逮捕された。共に最下層カーストのダリット(Dalit)出身であるこの2人は、自宅で性行為に及んでいたところを捕らえられ、絞殺されたとみられる。

 シャムリ地区のブシャン・ベルマ(Bhushan Verma)捜査官はAFPに対し、「われわれは女性の父親と兄弟を逮捕した。家族の評判をおとしめたために彼女を殺したと供述している」と述べた。

 また、同じくウッタルプラデシュ州のサハーランプル(Saharanpur)県で21日、共に20歳代のヒンズー教徒のカップルが遺体となって発見された。2人は3年間恋愛関係にあり、結婚を望んでいたものの、双方の家族から反対されていたという。

 警察は、2人が男性の自宅内で首を吊った状態で発見されたことから、自殺の可能性も排除していない。

 サハーランプル警察のプラディプ・クマール・ヤダブ(Pradeep Kumar Yadav)署長はAFPに対し、「名誉殺人、もしくは自殺の可能性もあるが、死因を確かめるために検視結果の報告を待っている」と語った。

 この2組のカップルの場合、生物学的な意味で男女2人がお互いに親類関係にあるわけではないが、双方とも「ゴトラ」と呼ばれる親族集団が同じであるため、多くのヒンズー教徒からは近親相姦の対象とみなされ、名誉殺人の原因になり得るという。

 さらにウッタルプラデシュ州のムザッファルナガル(Muzaffarnagar)県近郊では21日、イスラム教徒の少年(16)の遺体が食用油工場の近くで埋められていたのを警察が発見した。

 警察は、少年が工場の経営者のめいと恋愛関係にあり、ヒンズー教徒である彼女の親族が「家族の名誉」を守るために少年を絞殺したと述べている。

 ムザッファルナガル警察のディーパク・クマール(Deepak Kumar)署長はAFPに対し、「われわれは少女の兄弟、おじ、いとこを逮捕した」と語っている。

 インドでは今も、同じカースト以外の者、もしくは異教徒との結婚は批判の対象となっている。(c)AFP