【7月17日 AFP】(更新、写真追加)トルコ政府は16日、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領に不満を持ち、政権転覆を試みた軍の一部勢力によるクーデターを鎮圧し、国政の制御を取り戻した。民間人とクーデターを企てた軍人らを合わせて265人が死亡した。

 北大西洋条約機構(NATO)加盟国であり、約8000万人の人口を擁するトルコの首相・大統領を務めてきた過去13年間で最も血なまぐさい挑戦に直面したエルドアン大統領は、15日に発生したクーデターの「再燃」を避けるため、支持者に対し路上での抗議を続けるよう促した後、同国最大の都市イスタンブール(Istanbul)で数千人の支持者を前に勝ち誇って演説を行った。

 トルコ政府当局は、今回のクーデターがエルドアン大統領の政敵で、米ペンシルベニア(Pennsylvania)州在住のイスラム教指導者フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師の責任だとして、クーデターに関連したとされる軍人2839人を拘束した。国際社会では報復への懸念も高まっている。

 トルコでは16日朝、クーデターに失敗し、両手を頭上に上げたり路上に倒されたりした数十人の兵士が投降する場面がテレビで放映された。

 トルコのビナリ・ユルドゥルム(Binali Yildirim)首相は、クーデターを企てた軍の一部勢力に人質に取られていたトルコ軍トップのフルシ・アカル(Hulusi Akar)参謀総長と共に首都アンカラ(Ankara)の首相執務室前で会見し、「状況は完全に(政府の)制御下にある」と述べた。

 クーデターの企てをトルコの民主主義に対する「黒い汚点だ」と語ったユルドゥルム首相は、前夜の暴力で161人が死亡、1440人が負傷したと話した。またアカル参謀総長が人質となっている間、参謀総長代行を務めたウミット・ドゥンダール(Umit Dundar)将軍は、クーデター参加者104人が死亡したと述べた。治安部隊の作戦によるアカル参謀総長の救出で、クーデター首謀者の希望は打ち砕かれた。

 権力のバランスが定まっていなかった夜間、トルコ国旗を持った大勢のエルドアン大統領支持者らがクーデターの首謀者らが出した外出禁止令を無視して路上にあふれ、政府転覆の試みを阻止した。

 エルドアン大統領は16日、短文投稿サイト「ツイッター(Twitter)」に「今夜は(クーデターの試みが)いかなる段階にあろうとも、新しい(クーデター)再燃の可能性はあり得る。われわれは路上を占拠し続けるべきだ」と投稿した。トルコ各地にいるAFPの記者によると、イスタンブールやアンカラ、トルコ西部の港湾都市イズミル(Izmir)の広場には、大統領の呼びかけに応えた大勢の人々が集まった。