【6月15日 AFP】パキスタン東部シアルコット(Sialkot)のキリスト教徒の家庭で、自分で選んだ相手と結婚すると言って聞かなかったとして10代の少女が兄に撲殺された。警察当局が14日発表した。パキスタンでは親が認めない相手との交際などで家族の名誉を汚したとして女性らが殺害される「名誉殺人」が後を絶たず、怒りの声が広がっている。

 10代後半の女性アナム・イスハク・マシー(Anum Ishaq masih)さんは12日未明、就寝中に兄のサキブ・イスハク・マシー(Saqib Ishaq masih)容疑者(23)に木材で頭を殴られて殺害された。

 AFPの取材に応じた地元警察関係者によれば、アナムさんは近隣に住むキリスト教徒の男性との結婚を望んでいたが、家族から反対されていた。事件前日の11日にはアナムさんがこの男性と結婚すると言い張ったため、サキブ容疑者が激高したという。

 サキブ容疑者は父親の告訴を受けて逮捕され、殺人容疑で訴追された。

 キリスト教徒の活動家であるシャムーン・ギル(Shamoon Gill)氏は、パキスタンのキリスト教コミュニティーで名誉殺人が起きることは極めてまれだと説明。その一方で、パキスタンではキリスト教徒やヒンズー教徒の大半はイスラム教からの改宗者であり、そこには部族社会の要素が一部残存していると指摘した。(c)AFP