■「夫婦間の性行為はレイプではない」

 現行法には、「夫婦間での性行為は、妻が15歳未満でない限り、レイプではない」という規定がある。

 夫が比較的軽微な虐待の罪で起訴され、最高で禁錮3年、もしくは罰金の支払いを言い渡されることはある。また妻は、家庭内暴力防止法の下、接見禁止命令などの措置を求めることができる。

 しかし被害者や支援者は、さらに踏み込んで夫婦間レイプを刑罰の対象とすれば強大な抑止力となり、家庭内暴力から女性を守るために非常に有益になると訴えている。

 首都で女子学生が集団レイプを受けて死亡する事件が発生し、女性への虐待をめぐる国民の怒りが爆発したことを受けて、政府は2013年厳罰化に踏み切った。これにより、凶悪なレイプ事件の加害者は死刑に処せられる可能性も出てきた。

 政府が関連法の精査役に任命した当時の最高裁長官は、法律を夫婦間レイプにも適用するよう提言したが、受け入れられなかった。同問題について審議する議会の委員会も、「インドの家族制度」に「大きな圧力」がかかることになるとして、同案を却下した。

 また、妻が夫との個人的ないさかいを解決する手段として、法を悪用する可能性を懸念する声もあった。