■求む「遺伝子のスーパーヒーロー」

 米マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)のゲノミクス研究者、ダニエル・マッカーサー(Daniel MacArthur)氏は同誌に掲載された解説記事で「これらの数少ない人々には、通常なら発症するはずの深刻な疾患を防御する遺伝要因や環境要因の何らかの組み合わせがあるに違いない」とコメントしている。同氏は今回の研究には参加していない。

 研究の次の段階は、この種の遺伝的変異があるにもかかわらず大人になるまで生存した人について、これらの防御機構を特定し、最終的には再現するために十分な数の事例を見つけることになると思われる。

 専門家らは今回の研究に関して、病気の原因になることが知られている遺伝子変異があるにもかかわらず健康を保っている人々を見つけるため、大規模な母集団のゲノムを解析するというアイデアは、大きな可能性を秘めていると口をそろえた。

「この目標を達成するには(数千人ではなく数百万人規模の)途方もなく大型のサンプル集団が必要になる」とマッカーサー氏は指摘した。

 また、調査対象者が署名していた同意文書の制約から、研究チームは13人の誰についても追跡調査を行うことができなかった。目標達成には、自身のゲノムと臨床に関するデータを進んで提供する、マッカーサー氏の言うところの「遺伝子のスーパーヒーロー」の登場が不可欠となるという。(c)AFP/Marlowe HOOD