【3月29日 AFP】オーストラリアにある世界最大のサンゴ礁で世界遺産(World Heritage)にも登録されているグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)の北側部分で、サンゴの色が白くなる白化現象が過去に確認された中で最悪のレベルで進んでいることが分かった。研究チームが29日、上空からの調査を基に発表した。白化を免れているサンゴ礁はほとんどないという。

 白化は海水温度の上昇など異常な環境条件によって、通常サンゴと共生している微小な藻類が失われることで起きる。

 オーストラリアのジェームズクック大学(James Cook University)の研究チームによると、クイーンズランド(Queensland)州北部のケアンズ(Cairns)とトレス海峡(Torres Strait)の間にある約520のサンゴ礁を飛行機とヘリコプターで調査した結果、壊滅的な状態にあることが判明した。

 同大学のテリー・ヒューズ(Terry Hughes)教授は、最も手つかずの状態にある最北部分のサンゴ礁の上空を4000キロ飛行して調べたところ、ほぼ例外なく、かなり高い割合の白化が進んでいることが分かったと説明した。白化が起きていないサンゴ礁はわずか4か所だったという。

 同大学の専門家ジェームズ・ケリー(James Kerry)氏は、今後さらに調査を行う予定だとしつつ、今回の調査によると北側部分では、一つのサンゴ礁の6割の部分が白化していることを示す最悪のカテゴリーである「レベル4」に分類されるサンゴ礁が多かったと指摘。被害は深刻だとの認識を示した。

 この調査に先立ちオーストラリア政府も1週間ほど前、グレートバリアリーフの白化が「深刻」だと明らかにしていた。ただ、南側部分は最悪の状態を免れているという。(c)AFP