【3月11日 AFP】新生児の脳損傷との関連がすでに示されているジカウイルスが、成人患者にも重篤な脳感染症を引き起こす可能性があると警告する仏研究チームの報告が10日、発表された。

 仏パリ(Paris)では1月、81歳の男性が1か月間のクルーズ船ツアーから帰国した直後に近郊の病院に入院した。この男性は半昏睡状態で高熱と部分まひを発症し、脳と脳膜の炎症である髄膜脳炎と診断された。男性の髄液中では、ジカウイルスが発見された。

 米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された論文の共同執筆者で、男性の治療に当たった病院の専門家、ギョーム・カルトー(Guillaume Carteaux)氏は、AFPの取材に「われわれの知る限り、この種の患者としては世界で初めて報告された症例だ」と語った。

 ただし、ウイルスの存在だけでは、それが病気の原因になったことの証明にはならない。

 南太平洋のニューカレドニア、バヌアツ、ソロモン諸島、ニュージーランドといった国々を巡った船旅中は健康な状態だったと伝えられているこの男性患者はその後、症状がある程度回復している。

「(ジカウイルスが)髄膜脳炎と関連する可能性があることを、臨床医らに周知させるべきだ」と研究チームは記している。男性の神経系からは、別のウイルスや他の感染性因子は何も発見されなかったと、研究チームは付け加えている。(c)AFP