■5年間の継続服用で効果

 その結果、常用量または低用量のアスピリンを週に2回以上服用している人々は、アスピリンの定期的な服用を報告しなかった人々に比べて、あらゆる種類のがんの発症リスクが3%低いことが分かった。

 アスピリンの予防効果は「標準錠剤を週に0.5~1.5錠または低用量錠剤を1日1錠、5年間継続して服用した後に現れた」と論文は指摘している。

 アスピリンの使用は、大腸がんのリスクを19%、各種の消化管がんのリスクを15%、それぞれ減少させた。

 論文によると、定期的なアスピリンの服用によって「米国で年間3万近くの消化管腫瘍を予防できる可能性がある」という。

 また、アスピリンの使用が「50歳超の米国成人のうち、大腸内視鏡スクリーニング受診者からさらに7500人、3000万人近い未受診者からさらに9800人の大腸腫瘍を予防する」可能性があると研究チームは試算した。

 だが今回の調査では、乳がん、肺がん、前立腺がんなどの一般的ながんでは、アスピリンの使用による発症リスクの減少は認められなかった。アスピリンは出血や脳卒中などのリスクを伴うため、誰でも服用してよいわけではない。

 米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、多くの米国成人の大腸がんと心臓血管疾患を予防するために、アスピリンを推奨している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN