■現実離れではない

 その結果は「加齢に関連する機能低下の症状の治療、さらには老化細胞そのものや、老化細胞を生成する治療の副作用に関係している加齢関連の病気の治療に、このアプローチが有用である可能性がある」ことを示唆していると、論文の執筆者らは記している。

 研究のこの先の段階では、老化細胞の除去により、加齢に関連する減退傾向を反転させることが可能かどうかを確かめるために、すでに高齢のマウスを対象とした今回の手法の検証が行われると思われる。

「人間に対して、このいわゆる『自殺遺伝子』を用いた遺伝子組み換えを施すことはできないので、この手法を人間に対して直接検証することは不可能だ」とベイカー氏は説明する。

「だが、老化に伴ってわれわれの体内に蓄積する老化細胞を選択的に除去できる化合物に特化して探求を進めている、さまざまなグループが存在することが知られている」

「そのため、これらの老化細胞に影響を与えるか、細胞自体を除去する何かが開発されると考えることは、現実離れした考えではない」(c)AFP