【2月2日 AFP】英国政府は1日、不妊に悩む女性に希望を与えることを目的とした研究で人間の胚を遺伝子学的に改変することを初めて承認した。一方で「デザイナーベビー」をめぐる倫理的な懸念もある。

 今回の決定によって、英国は、科学の新たな領域に対してこの種の承認を与えた世界初の国の一つとなった。承認にあたっては、英国の発生学監視当局が数か月にわたり審議を行った。

 英政府の直轄機関「ヒト受精・胚機構」(Human Fertilisation and Embryology AuthorityHFEA)は、フランシス・クリック研究所(Francis Crick Institute)のキャシー・ニアカン(Kathy Niakan)博士が申請していた「胚の遺伝子編集」を含む新たな研究を政府が承認したと発表した。

 改変された胚はすべて、14日以内に廃棄される必要があり、それを女性に移植することはできない。研究では、改変後の最初の数日間に胚の調査を行う。

 クリック研究所のポール・ナース(Paul Nurse)所長は、「ニアカン博士が提案した研究は、健康な人間の胚が成長する仕組みを理解するために重要であり、体外受精(IVF)の成功率についてのわれわれの理解を深めるだろう」と語る。

 同プロジェクトは、数か月以内に開始され、細胞内のDNAの挿入や除去、改変が可能な遺伝子編集技術「クリスパー・キャスナイン(CRISPR/Cas9)」が使用される予定だという。(c)AFP/Dario THUBURN