【1月27日 AFP】欧州連合(EU)は26日、旅券なしでの自由な往来を認めるシェンゲン協定(Schengen Agreement)の参加国に、移民危機への対応策として最長2年の期限付きで入国審査の再導入を認めるかどうか検討した。高く掲げてきた欧州の一体性という基本理念が打撃を受ける恐れもある。

 EU加盟各国の内相は25日、オランダ・アムステルダム(Amsterdam)で開かれた会合で、EUの行政執行機関である欧州委員会(European Commission)に対し、入国審査実施期間の延長を要請していた。

 シェンゲン協定の第26条は、「例外的な状況」の場合、同協定に参加する26か国に最長2年間に限り国境での入国審査の再導入を認めると定めている。

 ここ数か月の間にオーストリア、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フランス、さらにEU非加盟のノルウェーが、6か月の期限付きで入国審査を再導入した。

 シェンゲン協定参加国が入国審査を再導入する際は欧州委員会に通知し、同委員会が再導入の条件を満たしているか判断することになっている。

 入国審査の一時的な再導入により、旅券や査証なしでの自由な移動を可能にし、欧州の一体性と自由、繁栄の象徴となっているシェンゲン圏が崩壊しかねないという懸念が広がっている。(c)AFP/Lachlan CARMICHAEL