【1月10日 AFP】デンマークの出入国管理当局はこのほど、アルバイトの労働時間が規制の限度を超えたとして、オーフス大学(Aarhus University)の留学生1人に国外退去を命令した。この優秀な留学生を引き留めるため当局に働きかけていた同大が9日、明らかにした。

 国外退去となったのは、工学専攻のマリウス・ユウビ(Marius Youbi)さん(30)で、8日までの国外退去の命令に従い、7日に出身国カメルーンに向けて出国した。デンマークは欧州有数の厳しい移民政策を実施しており、新たな生活を求める外国人が押し寄せないようにするため、ここ数か月再三にわたって移民規制を強化した。

 ユウビさんは学費をまかなうため清掃作業員のアルバイトをしていたが、当局に認められている週15時間の労働時間の限度を上回ることがあった。オーフス大学の広報担当者は、昨年12月23日に同大幹部が当局に国外退去の再検討を求める嘆願書を送ったものの、回答はなかったと説明した。

 AFPが入手した嘆願書のコピーによると、同大幹部はユウビさんが「本学で最も有能な学生の1人」であり、国外退去の決定が撤回されなければ遺憾だと述べていた。

 出国直前、ユウビさんは現地ラジオに対して「残念であり、落ち込んでいる。わたしの努力は無駄になった」と語り、「この4年半は煙のように消えてしまった」と話した。

 その一方でユウビさんは、デンマークに戻って学業を再開する望みを依然捨てていないとし、「戻ってこられることを望んでいる。まずは帰国して待ち、それから最善を期待する」と語った。(c)AFP