【12月15日 AFP】世界で最も乾燥した砂漠に4億ドル(約484億円)を投じて水力発電所を建設する──技術的に失敗が約束されているように見える事業だが、チリはそれを、環境に優しいエネルギーを生み出す革命的な方策になると期待を寄せている。

 事業が計画されているのはチリ北部のアタカマ砂漠(Atacama Desert)。その独特の地理を生かし、自然状況に左右されて発電量が安定しないという再生可能エネルギー最大の難題の一つを解決しようという試みだ。

 太陽光は常に照っているわけではないし、風も常に吹いているわけではない。だが国土が細長いチリでは、海の近くに必ず山がある。

 チリのエネルギー企業、バルハラ(Valhalla)の計画では、太陽光を利用して太平洋から海水をくみ上げ、いったんアンデス(Andes)山脈の貯水池2か所にため、そこから水力発電所に放流する。発電所の設備容量は300メガワットで、国内3県の需要を賄えるという規模だという。

 チリは現在、化石燃料に依存するエネルギー純輸入国。

 バルハラの戦略担当責任者、フランシスコ・トレアルバ(Francisco Torrealba)氏は「この種の事業を進められるのは世界でもここだけだ」と述べた。(c)AFP