■「大きな意義ある一歩」

 研究チームは、マラリア抑制抗体を運んでいる遺伝子編集ツールがDNAの適切な部位に到達したことを確認するために、子孫の目が赤色に蛍光するように作用する酵素を組み込んだ。

 子孫のほぼ全部(99.5%)がこの特性を示したことにより、遺伝子編集が目的通りに機能したことが証明された。

 マラリア抗体の有効性を確認するには、さらに実験を重ねる必要があり、実験の積み重ねは最終的に現地調査の実施につながる可能性があるとジェームズ氏は指摘した。

「これは大きな意義のある第一歩だ」とジェームズ氏は話している。

「遺伝子が正常に機能することが、今回の研究で分かった。今回作製した蚊は完成形ではないが、この技術によって大型の個体群を効率的に形成できることが判明した」

 マラリアは、罹患(りかん)リスクのある地域に世界人口の40%あまりが居住しているため、世界の重大な健康問題の一つになっている。

 米疾病対策センター(CDC)によると、マラリアの新規感染診断数は年間3億~5億件、死者数は年間100万人近くに上っている。感染者と死者の大部分は乳児や小さな子どもや妊婦で、うち大半がサハラ以南アフリカ地域で発生しているという。(c)AFP