【11月6日 AFP】民間航空機が爆弾で撃墜させられる事件は、1980年代から数件発生している。しかし、今回のエジプトでの旅客機墜落もこれに当てはまるとすれば、近年ではまれなケースだったといえるだろう。

 これまでの旅客機撃墜事件をまとめた。

■1983年9月23日。パキスタン・カラチ(Karachi)発アラブ首長国連邦(UAE)・アブダビ(Abu Dhabi)行きのガルフ航空(Gulf Air)ボーイング737が、機内の手荷物入れに置かれた爆弾が爆発し、着陸直前に墜落。乗客105人、乗員6人が死亡。2002年、元パレスチナ解放機構幹部のアブ・ニダル(Abu Nidal)容疑者が関与し、元側近の一人が実行したと断定された。

■1985年6月23日。カナダ・モントリオール(Montreal)発英ロンドン(London)行きのエア・インディア(Air India)ボーイング747が、アイルランド沖に墜落。乗客乗員329人全員が死亡。インドの事故調査員会は、シーク教の戦闘員が機内持ち込み手荷物に爆弾を仕掛けたと断定。

■1987年11月29日。イラク・バグダッド(Baghdad)発UAE・アブダビ経由韓国ソウル(Seoul)行き大韓航空(KAL)ボーイング707が、ミャンマー沖に墜落。乗客乗員115人全員死亡。金賢姫(キム・ヒョンヒ、Kim Hyun-Hee)元北朝鮮工作員が、ソウル五輪(Seoul Olympic Games)開催の妨害を企てる北朝鮮当局の命令を受けて爆弾を仕掛けたことを認めた。同元工作員は1990年、死刑を言い渡されたが、後に韓国政府による恩赦を受けた。北朝鮮は攻撃を命じたことを否定している。

■1988年12月21日。英ロンドン発米ニューヨーク(New York)行きパンアメリカン航空(Pan Am)ボーイング747が、スコットランド(Scotland)の町、ロッカビー(Lockerbie)上空で爆発。地上にいた人を含む270人が死亡。2003年、当時の最高指導者ムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐率いるリビア政府は、公式に攻撃への関与を認め、被害者遺族らに対し27億ドルの賠償金を支払った。有罪判決を受けたのは、リビアの情報部員アブデルバセト・アルメグラヒ(Abdelbaset Ali Mohmet Al-Megrahi)元受刑者のみだった。同工作員は、健康上の理由でスコットランド当局により釈放されてから3年後の2012年に死去した。

■1989年9月19日。コンゴ・ブラザビル(Brazzaville)発チャド・ヌジャメナ(N'Djamena)経由フランス・パリ行きUTA(Union de Transports Aeriens)DC10が、ニジェール・テネレ(Tenere)の砂漠地帯上空で爆発。墜落により170人が死亡。1999年、フランスの裁判所は、攻撃に関与したとしてリビア人工作員6人に有罪判決を言い渡したが、リビア側は関与を一切認めなかった。しかし、リビア政府は2004年、被害者遺族への賠償金として1億7000万ドルを支払うことに同意している。

■1989年11月27日。コロンビア・ボゴタ(Bogota)発アビアンカ航空(Avianca)ボーイング727が、離陸直後に爆発。1994年12月、同国アンティオキア(Antioquia)州メデジン(Medellin)の麻薬カルテルに雇われたとみられる男が、爆弾を隠して機内に持ち込んだとして有罪判決を受けた。

■2004年8月24日。ロシア・モスクワ(Moscow)のドモジェドボ(Domodedovo)空港を飛び立ったロシアの旅客機2機が、ほぼ同時に墜落。1機はモスクワ南方のトゥーラ(Tula)地方に、別の1機は同南西部のロストフナドヌー(Rostov-on-Don)近郊に墜落した。計90人死亡。北カフカス(North Caucasus)地方出身の女2人が、機内で自爆。ほぼ無名のイスラム組織「Islambouli Brigades」がチェチェン共和国(Chechen)の分離独立派の支持を受けて犯行に及んだとする犯行声明を出した。(c)AFP