■麻薬、反社会勢力、銃器の拡散

 殺人事件の件数が増加している大都市には、そのほかにも、ニューヨーク(New York)、フィラデルフィア(Philadelphia)、ダラス(Dallas)、ニューオーリンズ(New Orleans)などがある。

 専門家らは、実際に何が起きているのかを把握・説明できずに頭を悩ませており、都市ごとに異なる要因が働いていると述べるにとどまっている。要因として挙げられているものには、麻薬や反社会勢力同士の抗争、さらには銃器の拡散などがある。

 また、都市部での暴力を象徴する存在となったのは、メリーランド(Maryland)州ボルティモア(Baltimore)だ。同市では4月、黒人男性のフレディ・グレイ(Freddie Gray)さんが警察よる身柄拘束の際に負傷し、その後に死亡している。これに反発する形で、ボルティモアでは暴動も起きている。

 一方、2015年夏は、一般市民が巻き込まれる大規模な事件も複数発生している。サウスカロライナ(South Carolina)州チャールストン(Charleston)の教会では黒人の信者ら9人が、テネシー(Tennessee)州チャタヌーガ(Chattanooga)の軍関連施設では兵士5人が、それぞれ銃がらみの事件で死亡している。

 ディアンドラさんは10日、首都ワシントンを訪れ、国内での銃の販売へのより厳しい規制を要請した。

 米国会議事堂前の階段には、ディアンドラさんとともに、先月米南部バージニア(Virginia)州でローカルテレビ局の生中継中に銃撃され死亡した女性リポーター、アリソン・パーカー(Alison Parker)さん(24)の父親、アンディーさんの姿も見られた。

 深い悲しみに暮れるアンディーさんは、「多数の議員らが、銃規制に反対する団体の言いなりになっている。こうしたことは変えなければならない」と訴えた。(c)AFP/Sébastien BLANC