■倫理面の問題提起も

 今回の研究は、米国立衛生研究所(US National Institutes of HealthNIH)が主導する「ヒト・マイクロバイオーム・プロジェクト(Human Microbiome ProjectHMP)」に便、唾液、皮膚などのサンプルを提供したドナー242人のうちの120人のデータに基づくものだ。

 ドナーのマイクロバイオーム(細菌叢、さいきんそう)に基づく個人コードを生成するため、コンピューター科学アルゴリズムが用いられた。

 この個人コードに対して、追跡調査時に採取した同一人物のサンプルおよび別人のサンプルとの照合を行った。

 研究チームによると、ヒトマイクロバイオームのサンプルを複数のデータベースで横断的に照合することが可能であることが今回の研究で判明したという。

 だが研究チームは、倫理面の問題提起も行っており、今回の手法を実践することで、性感染症の有無などの取り扱いに注意を要する個人情報が暴露される恐れがあると警鐘を鳴らしている。性感染症は、被験者自身のDNAや同意がなくても、マイクロバイオームから検出可能だ。

 論文主執筆者のハーバード大のカーティス・フッテンハワー(Curtis Huttenhower)准教授(計算生物学・生物情報学)は「純粋に細菌のDNAから情報プライバシーに関する懸念が生じる可能性は非常に低いとはいえ、そうした問題が理論的に発生する可能性があることを研究者らが理解しておくことが重要になる」と話している。(c)AFP