【2月13日 AFP】不適切な廃棄物処理や不法投棄によって世界各地から海洋に流出したプラスチックごみの量は、2010年の1年間だけで800万トンに上ったとする米大学チームの研究論文が12日、科学誌サイエンス(Science)に掲載された。こうしたプラスチックごみが海洋生物に深刻な危機をもたらしていると警告している。

 論文によれば、プラスチックごみの海洋流出が最も多かった国は中国で、インドネシア、フィリピン、ベトナム、スリランカが続いている。

 研究では、海に面した192か国・地域における2010年の1人当たりごみ排出量を基にした数理モデルを用い、1年間に海洋に流出したプラスチックごみの量を試算した。排出されるごみに含まれるプラスチックの量や、不適切に処理されたごみの量は、それぞれ1%と仮定した。

 海洋に浮かぶごみの量ではなく、海岸線から流出したごみの量を調査した研究は初めて。

 ジョージア大学(University of Georgia)のジェナ・ジャムベック(Jenna Jambeck)氏は、何も対策をとらなければ人口が増えるにしたがって状況は悪化し、流出ごみの量は「2025年までに倍増する」との懸念を示している。

 ジャムベック氏によれば、プラスチックごみの流出量が多いのは経済発展が著しい新興国で、経済成長の速度に廃棄物処理設備が追いついていないことが背景にある。

 研究チームではプラスチックごみの流出を減らすためには、廃棄物管理の整備とプラスチックの消費を減らす取り組みが必要だと指摘。不適切に処理されたプラスチックごみの83%が流出量ワースト上位20か国に由来していることから、既に海洋に浮かんでいるごみを除去するよりも、流出防止に力を注ぐべきだと述べている。

 先進国では米国のみが、ごみ流出ワースト上位20か国に入った。これは、1人当たりのごみ廃棄量が多く、海岸線が長いためだという。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI、Kerry SHERIDAN