【1月7日 AFP】2011年の東日本大震災の津波を引き起こした地震は、プレートの境界域で9年間にわたってひそかに蓄積された圧力の解放によって発生したとの研究論文が、6日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。この年の津波は、福島第1原子力発電所の事故にも繋がった。

 東京大学(Tokyo University)の纐纈一起(Kazuki Koketsu)氏と横田裕輔(Yusuke Yokota)氏の研究チームによると、2つの強力な地殻プレートが交わる東日本沖の断層の一部は、10年近くひそかに押しつぶされ、ねじ曲げられていたという。

 この検出困難な活動によって2011年3月11日に断層が割れ、大災害が起きた。この変形活動が「震源域の圧力を増加させ、最終的に東北地方太平洋沖地震を引き起こした」と纐纈氏はAFPの電子メール取材で説明した。

 日本列島が乗る北米プレートの下に太平洋プレートが潜り込む日本海溝(Japan Trench)に断層は存在する。このような断層は、世界で発生した最も破壊的な地震の一部に関与してきた。ただ、これらの断層については監視が困難なことでも知られている。

 研究チームは、日本全国に点在するGPS(衛星利用測位システム)局のネットワーク「GeoNet」から提供されたデータを詳細に調べ、1996年3月21日から、マグニチュード7.3の前震が発生する前日の2011年3月8日までのデータを使い、東北と関東での地殻の変動を示す地図を作製した。

 地殻の動きをミリ単位の精度で測定したGeoNetデータの活用を進める、これまでの取り組みを基礎とした今回の研究では、日本海溝での長期にわたる変形による背景信号を検出できるようにするため、付近で発生した比較的小規模な地震による地震ノイズを除去する必要があったという。

 今回の研究について纐纈氏は「GPS局のネットワークを活用すると、巨大な沈み込み地震につながる可能性のある『ゆっくり滑り』の観測が可能であることを、論文は証明している」と話す。

 一方で同氏は「巨大沈み込み地震が起きる前に必ずゆっくり滑りが発生するということは、まだ証明されたわけではない」と注意を促した。(c)AFP