【10月8日 AFP】ニュージーランド国立水圏大気圏研究所(National Institute of Water and Atmospheric ResearchNIWA)の地質学者らは8日、マグニチュード7.1規模の地震を引き起こす可能性のある活断層が、同国の首都ウェリントン(Wellington)の地下で新たに発見されたと発表した。ウェリントンが、世界でも有数の地震活動が活発な都市であることが再確認されたといえる。

 NIWAによれば、新たに発見されたアオテア(Aotea)断層は、ウェリントン湾(Wellington Harbour)の海底から始まり、市中心部を通って南部郊外まで続いているとみられる。

 NIWAの海洋地質学者フィリップ・バーンズ(Philip Barnes)氏は報道陣らに対し、この活断層によって発生した最近の地震は6200年前に起きたものであることを示す証拠があったと説明した上で「確率年(災害の発生頻度・確率を表す単位)は数千年とみているが、次の地震破壊の時期は分からない」と述べた。

 地震の脅威を理由に首都を移転すべきだという主張もあるが、これについてジョン・キー(John Key)首相は「非現実的だ」と述べ「(今回の発表で)何も変わることはない。ウェリントンにはその他にも大きな活断層が複数ある。活断層を発見するわれわれの技術が向上していることを示しているに過ぎない」との見解を示した。

 同国の地質災害監視プロジェクト「ジオネット(GeoNet)」の地震地質学者ラス・バン・ディッセン(Russ Van Dissen)氏も、新たに発見されたアオテア断層は、ウェリントン地帯を縦横に走る「数十本」の活断層の一つに過ぎないと話している。周辺には最大でマグニチュード8.5の地震を起こし得る活断層があるという。

 ディッセン氏はまたウェリントンの現行の建築基準は、今回発見された活断層が起こす可能性がある地震にも対応できるはずだと述べ「マグニチュード7の地震が取るに足りないものだと言うことはできないし、被害は生じるだろう。しかしこの断層による地震は、ウェリントンがすでに備えている規模に満たないレベルにとどまると予想している」と語った。さらにウェリントンの地下にはおそらく、他にもまだ発見されていない断層があるだろうと同氏は述べた。(c)AFP