【8月26日 AFP】料理用コンロや高速道路から発生する汚染物質にさらされている中国の女性たちは、高血圧になるリスクが高くなるという調査結果が、25日の米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に発表された。

 この調査は、温暖化を引き起こしている人為的な排出物において、二酸化炭素に次ぐ要因とされる黒色炭素に焦点を当てている。黒色炭素は木や石炭、化石燃料などを燃やすと発生する。調査によると、中国の約半数の世帯では石炭や木を調理に使用している。

 調査は中国南西部・雲南(Yunnan)省の北西部に位置する農村部に住む平均年齢52歳の女性280人を対象にした。調査開始時、このうち18%が太り過ぎで、4%が肥満だった。女性たちには、健康に有害とされる大気中の直径2.5ミクロン未満の微小粒子状物質(PM)を採取できる携帯型の空気採取装置(エアサンプラー)を装着してもらった。

 この結果、黒色炭素は心疾患の主要なリスク要因である高血圧に関連していた。論文の主著者でカナダ・マギル大学(McGill University)のジル・バウムガートナー(Jill Baumgartner)氏は「黒色炭素への露出は、心臓血管へのリスクに直接関係する血圧に大きな影響を与えていた。その影響は、微小粒子状物質の2倍に及んでいた」と述べている。

 また高速道路から半径200メートル以内に住んでいる女性の収縮期血圧(最高血圧)は、もっと離れた場所に住んでいる女性に比べ3倍程度、高かった。「バイオマスの煙に由来する黒色炭素の心血管系への影響は、自動車の排出ガスに同時にさらされた場合、さらに大きくなることを発見した」と研究は述べている。

 過去の南米での調査では、高齢の女性たちが伝統的な覆いのない料理用コンロから、煙突が設置されたコンロに変えたところ、血圧が下がったという結果が出ている。(c)AFP