■失敗から学ぶ危険な男

 仏犯罪学者で航空保安に詳しいクリストフ・ノダン(Christophe Naudin)氏は、シカゴへの小包爆弾が発見されたのは、従来の保安検査ではなく情報収集活動のおかげだったと語る。

「(爆弾は)全ての検査をくぐり抜けた。だが、AQAPに潜伏していたサウジアラビアの情報機関の要員がフライト番号と経路、小包番号を連絡してきたおかげで発見することができた。人的情報活動がなかったら爆発していただろう」と、ノダン氏はAFPに述べた。

 アシリ容疑者は事件ごとに爆弾製造手法を改良することで知られている。米中央情報局(CIA)のジョン・ブレナン(John Brennan)長官はアシリ容疑者について「極めて危険な人物で、相当の訓練を受けた経験豊富な人物」と述べ、「アシリ容疑者の最も危険な点は同じことを繰り返さないことだ。失敗するたびに学び、新たなことを試してくる」と説明している。

 一部の情報要員からの報告によると、アシリ容疑者はシリアの医師と協力し、爆発装置を人体に手術で埋め込むというほぼ発見不可能な方法を実験しているという。

 世界のイスラム武装勢力の盟主の座をめぐり、イラクとシリアの広い範囲を支配下に置いて注目を集めたイスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」との競争に直面したアルカイダが派手な攻撃を企てている可能性があると専門家らは指摘している。また一方で、アシリ容疑者がIS側についたことをうかがわせる報告も上がっており、ISのために攻撃の準備に取りかかった可能性も指摘されている。(c)AFP/Michel MOUTOT