【4月2日 AFP】オーストラリアの連邦最高裁判所は2日、法律上の性別を男でも女でもない「不特定」として登録することを認める判決を下した。これにより、性の平等を求める1人の人物が長期にわたり続けてきた法廷闘争は幕を閉じた。

 連邦最高裁判事らは、「最高裁は男性と女性のどちらでもない人が存在しうることを認知している。よって、性別を『不特定』として登録することを認める」との判決を全員一致で下し、男性と女性のみを認めるよう求めたニューサウスウェールズ(New South Wales)州当局の訴えを棄却した。

 この裁判を起こしたのは、自分自身を男性とも女性とも特定しないノリー(Norrie)さん。男性として生まれ、女性になるための性別適合手術を1989年に受けた。だが手術では性自認のあいまいさを解決できなかったため、新たな性別の分類を求めていた。

 ノリーさんは2010年2月、自分の性別を「不特定」とする届け出がニューサウスウェールズ州当局に受理されたことで、世界中の話題となった。だが州当局はその直後、届け出は間違って受理されたため無効だとして、当初の判断を撤回。ノリーさんは当時、この決定によって自分は「社会から抹殺された」ように感じると話していた。

 ニューサウスウェールズ州最高裁は昨年、ノリーさんの性別を中立的と認める判決を出し、連邦最高裁の2日の判決でもこれが支持された。(c)AFP