【2月18日 AFP】うまく年を重ね長生きするための鍵は、社会的接触と定期的な運動だとする研究結果が16日、米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)の年次会合で発表された。

 研究結果を発表したシカゴ大学(University of Chicago)心理学部のジョン・カシオッポ(John Cacioppo)教授によると、極めて孤独を感じた場合、高齢者の死が早まる確率は14%上昇し、これは社会経済的に不利な地位によるマイナス影響と同程度だという。

 同教授によれば、2010年に発表された複数の研究のメタ分析を行ったところ、社会的孤立が死亡リスクに与える影響は、肥満による影響の2倍だった。2万人を対象にした研究では、孤独を感じることによって起こる、睡眠障害や高血圧、免疫細胞の機能低下、抑うつといった健康への悪影響が明らかにされた。

「自身にとって最も意味のある人たちと離ればなれになってしまうのであれば、暖かいフロリダで引退生活を送ることが、必ずしも良いこととは限らない」とカシオッポ教授は述べている。孤独になると生活が座りがちになることが多く、これが大きく健康を損ないかねない。

 米ピッツバーグ大学(University of Pittsburgh)心理学部のカーク・エリクソン(Kirk Erickson)助教授はAFPの取材に対し、定期的に適度な速さで散歩するといった簡単な運動は、循環器系疾患やアルツハイマー病のリスクを半減させるだけでなく、高齢者の脳にみられる通常の老化も明らかに遅らせると語った。

 エリクソン氏によれば、年を取ると脳は縮むが、身体運動は脳の全体的な機能改善を促す。特に海馬の容積を2%増やし、それによって脳の加齢が1~2年程度逆転し、思考能力が強化される。

「今回の研究は、成人後期になっても脳が依然、極めて修正可能であることを示すものだ……そして、脳が自然に持つこの柔軟性を生かす良い方法が運動だ。さらに良いことに、必要なのは多くの運動ではなく『適度の』運動量だという点だ」とエリクソン氏は述べている。(c)AFP/Jean-Louis SANTINI