【1月22日 AFP】中国などの急成長するアジア経済圏での大気汚染の急激な悪化が、太平洋北西部における冬季低気圧の強度を増大させているとの研究論文が21日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

 米カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)のジェット推進研究所(Jet Propulsion LaboratoryJPL)などの研究チームが発表した論文によると、中国北西部、韓国、日本を含む地域で発生する冬季低気圧は、粒子状物質による汚染のレベルが上昇した結果として、従来より強い風雨を伴うようになっているという。

 JPLのユエン・ワン(Yuan Wang)氏は、塵(ちり)などの降下物が、雲内での水蒸気の凝結や、暴風圏での熱の分布に影響を及ぼすと説明する。

 同氏はAFPの電子メール取材に「太平洋での暴風雨の強度における著しい変化は、1990年代中期に始まったと推定される」とし、「(この時期)中国などの多くのアジア諸国で経済が急成長するのに伴い、工場、発電所、自動車などから大量の大気汚染物質が排出された」と述べた。

 研究論文は、主に化石燃料の燃焼により発生するすすなどの残留物が環境に悪影響を及ぼす要因について調査した最新の結果をまとめたものだ。

 ワン氏の研究によると、エアロゾル(大気浮遊粒子状物質)は、水蒸気が凝結する際の「核」になるため、水滴の形成を加速するという。

 エアロゾルの影響を受けた雲では、通常より最大で4倍の量の水滴が運ばれる。結果、地域全体の降水量は約7%増加すると同研究は指摘している。