抗生物質効かない薬剤耐性菌のまん延、専門家らが警鐘
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■薬剤耐性のまん延を防ぐには…
専門家らによると、抗生物質の約70%が、まったく効果のないウイルス感染症に対して処方されているという。
例えば、2012年には約45万人が「多剤耐性結核(MDR-TB)」を発症し、うち17万人が死亡している。大半の結核治療薬は、MDR-TBに対する効果を持たない。
また多剤耐性菌のうち10%近くは、より致死率の高い超多剤耐性(XDR)菌と考えられている。XDRは、さらに広範囲な薬剤に対して効果を示さない。
薬剤耐性のまん延を防ぐには、分別のある薬剤の使用が大事となる。感染がウイルス性と細菌性のどちらなのか、治療効果があるかどうかをより慎重にかつ迅速に診断する必要がある。
畜産業者は家畜に抗生物質を与えることをやめ、病院や個人は細菌の拡散を防ぐために衛生面を向上させる必要がある。
ただ専門家の中には、これまでに被ったダメージを元通りにできるとは考えない少数派もいる。カーディフ大学のウォルシュ氏は、「細菌は非常に洗練されてきており、また非常に複雑化している。耐性菌を弱めたり減らしたりすることはできるが、完全に元の状態に戻すことはできない」と指摘している。(c)AFP