【1月15日 AFP】都市が核爆弾の攻撃を受けた際、放射性降下物による死者の数を抑えるために当局が参照することのできる避難指針が15日の英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society A)」に掲載された。

 放射線被ばくによるリスクを最小限に抑える「最適な避難・脱出タイミング」を割り出す数理モデルを策定したのは、米カリフォルニア(California)州にあるローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)のマイケル・ディロン(Michael Dillon)氏だ。

 大都市で核爆発が起こった際、最も重要であるとみなされている初動対策は、屋内にいち早く逃げ込むこと。しかしその場所にどの程度とどまり、どのタイミングでより適切なシェルターへと移動すべきかはより複雑な問題である。特に軽量建材でできた建物や地下がない施設には放射性物質が容易に透過してしまうことを考慮するとなおさらのことだ。

 同氏の計算に基づくと、適切なシェルターに到着するまでに15分かかるとするなら、最初にいた建物の設備が不十分だったとしても、そこに30分とどまった後での避難が望ましいという。しかし、適切なシェルターまで5分で行けるのであれば、即刻そこに移動し、またどれだけ近かったとしても危険な建物はすべて避けることを推奨している。

 0.1~10キロトンの単独の小型核爆弾による爆発であれば、適切なシェルターに迅速にたどり着くことで、1万~10万人が致命的な被ばくから逃れられるという。

 ディロン氏は「数理モデルは、小型核爆弾に対する最適な応答戦略を策定する上で、避難計画を策定する当局者の支援を目的としている」と述べた。1945年に広島に投下され、多くの人の命を奪った原子爆弾の核出力は、約15キロトンだった。(c)AFP