【12月28日 AFP】琉球大学農学部の多和田眞吉(Shinkichi Tawata)教授の研究室には甘くトロピカルな香りが漂う──。甘い香りを放つこの琥珀色の液体は、ここ沖縄で長寿の秘薬とされているエキスだ。

 この液体は、地元沖縄で「ゲットウ」と呼ばれる植物から抽出されたものだ。ゲットウを過去20年にわたり研究してきた多和田教授によると、この抽出液を線虫に毎日与えた実験では、線虫の寿命を平均で22.6%ほど延ばすことができたという。

 大きな緑の葉に白い花を咲かせ、赤い実をつけるショウガ科のゲットウ。野生のものも多く、沖縄の食文化に欠かせないこの植物だが、昔の人はこの植物に抗がん作用があるといわれるレスベラトロールが豊富に含まれていることなど知る由もなかった。

 それでもゲットウが体に良いことは多くの人が認識していたと多和田教授は話す。また数十年にわたって世界最高水準を保ってきた沖縄県人の平均寿命についても、その要因が伝統的な食生活にあると考えているという。

「寒い時期にムーチーを食べると、子どもたちが風邪を引きにくくなるとか、あるいは、非常に健康になる。そういうことが言われていました」