【12月17日 AFP】北極圏の海氷の量が10月、前年比で約50%回復したと16日、欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)が発表した。夏に広い範囲で氷が溶けずに残ったことを受けたものだという。

 海氷を観測しているESAの地球観測衛星「クリオサット2(CryoSat-2)」が10月に計測した北極の海氷は約9000立方キロメートルだったが、前年同月の海氷の容積は約6000立方キロメートルだった。

 1年以上溶けないで残る氷の厚さが昨年よりも約30センチ上回り、20%厚みを増していたことが大きく影響した。北極の夏の海氷面積は2012年に観測史上最低まで落ち込んだが、今年の夏は最低から6番目にまで回復していた。

 海氷の量が回復したことは歓迎すべきだが、長期的な現象を逆転させるまでには至らないと科学者たちは述べている。今回の論文の共著者で英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ(University College LondonUCL)のアンドリュー・シェパード(Andrew Shepherd)教授は「1980年代には毎年10月に約2万立方キロメートルあったとされる北極圏の海氷が、現在は過去30年間で最も少ない水準だ」と警告している。(c)AFP