■言葉もトイレの使い方も知らない子どもたち

 この家族はトレーラーハウス2台と2棟の小屋、2つのテントに分かれて住んでいた。水道や下水設備はなく、子どもたちの歯の衛生状態は劣悪で、トイレはやぶの中でしていた。女の子たちは便器やトイレットペーパーの使い方を知らず、歯ブラシを見たこともなかった。

 子どもたちの話し方は非常に分かりにくく、学校に全く通っていなかった子や、たまにしか顔を出さなかった子もいた。全員に発達遅延か認知障害があり、7人は「理解可能な言葉を話すことができない」という。

 農場の周囲には電気柵が巡らされていたが、子どもたちのベッドの1つにはカンガルーの子が1匹寝ていた。敷地内にはチェーンソーや大きなゴミ袋が散乱していた。

 農場では他にもう1人の子どもが生まれていたが、遺伝上の問題が原因で生後2か月で死亡したという。

 児童裁判所は9月、子どもたちを18歳まで当局の保護下に置くよう命じる判決を出した。このほど事件の深刻さに鑑み、「子どもたちを親元に戻す可能性は現実的に見てない」として、判決内容を公開する異例の措置を取ったという。(c)AFP