【9月13日 AFP】銃の所持と殺人の間には、確実な統計的関連性があるとする研究報告が12日、米国医師会雑誌(Journal of the American Medical AssociationJAMA)に発表された。

 銃の所持率の上昇は、銃による暴力の増加につながらないとする全米ライフル協会(National Rifle AssociationNRA)の主張に真っ向から対立する報告だ。

 1981年から30年間にわたり行われた全米50州を対象とした今回の研究では、ある州で銃の所持率が1%上がるごとに、銃器による殺人の発生率が0.9%上昇すると結論付けている。

 州単位の世帯ごとの銃保持に関するデータがないことから、研究では代理変数として、過去の研究で有効性が証明されている銃器による自殺率を用いた。

 ボストン大学(Boston University)のマイケル・シーゲル(Michael Siegel)教授(地域保健科学)が率いた今回の研究は、2012年12月にコネティカット(Connecticut)州ニュータウン(Newtown)のサンディフック小学校(Sandy Hook Elementary School)で児童20人、大人6人が死亡した銃乱射事件後、同種の研究としては初めてのものだ。

 シーゲル氏は声明の中で「ニュータウンの小学校での悲劇の後、多くの州が銃器に関連する死亡を防ぐ法律制定を検討している。今回の研究は、銃所持率の高い州では、銃器関連の殺人件数が極端に多いことを今までで最も強力に示すもので、銃の普及率を下げることができる施策があれば、銃による殺人率も下がることを示唆するものだ」と述べている。

 研究が対象とした30年で、銃所持率の平均推計値が最も低かったのはハワイ(Hawaii)州の25.8%、逆に最も高かったのはミシシッピ(Mississippi)州の76.8%で、全50州平均は57.7%だった。

 また年齢構成を考慮して補正した人口10万人当たりの銃による殺人件数では、最も少なかったのがニューハンプシャー(New Hampshire)州の0.9人、多かったのがルイジアナ(Louisiana)州の10.8人で、全50州平均は4人だった。ただし全50州平均では、1981年の5.2人から2010年の3.5人へと長期的には下がっている。

 米疾病対策センター(Centers for Disease Control and PreventionCDC)によれば、直近でデータが入手できる2010年に米国で起きた殺人事件1万6259件のうち、銃器が関与しているものは1万1078件に上る。(c)AFP