【7月17日 AFP】数千年もの間、思想家たちは「ハチの巣」の工学技術に驚嘆の声を上げてきた。

 ハチの巣の各小部屋は正六角形で、この6枚の極薄の壁は、巣に強度をもたらしているだけでなく、ハチミツを保管する上でも最も効率がいい。

「特定の幾何学的な先見性により……(ハチは)六角形が、正方形や三角形よりも優れており、それぞれの小部屋を建築する上で、同量の材料で多くのハチミツを保管することができることを知っている」と、4世紀の幾何学者、アレクサンドリアのパップス(Pappus of Alexandria)は述べている。

 一方、チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)にとっては、ハチの巣は「蜜ろうと労力を効率利用する上で絶対的に完璧」なものだった。

 しかし、ハチはいかにして巣を作っているのだろうか。

 最新の研究によると、小部屋は最初、六角形ではなく円形に作られる。特別な働きバチが発生させる熱により、半溶融状になった蜜ろうがゆっくりと形を変え、六角形になるという。

 研究を発表したのは、英カーディフ大学(Cardiff University)のBhushan Karihaloo氏率いる3人の研究チーム。ハチの巣の建設を担う特別なハチたちの動きを観察した。

 このハチたちは隣接して並び、自らの周囲に円管を建築する。これに、ハチたちの発生させる熱と、ろうの物理特性が作用するという。

 およそ45度の温度で、ろうは弾力性と粘性のある液状に変わり始める。表面張力により、ろうは3つの円管が交わる点に向かって伸び続け、最終的に六角形の頂点が形成される。同時に小部屋の壁全体が伸び続け、最後には隣接する小部屋同士が直線で結合し、正六角形が形成される。

 仕組みは物理学と数学によって解明されたが、科学者らはハチに対して惜しみない敬意を払っている。

「ろうを熱し、こね、薄くのばすという過程を必要に応じて正確に行うハチの役割に驚嘆せずにはいられない」と、英国王立協会(British Royal Society)の学術誌「Journal of the Royal Society Interface」に発表された論文には記されている。(c)AFP