【2月7日 AFP】自動車や暖房機器、火力発電所から大気中に排出される汚染物質が妊婦の体内に取り込まれることにより低出生体重児の生まれる確率が高まるとした国際調査結果が6日、米医学誌エンバイロメンタル・ヘルス・パースペクティブス(Environmental Health Perspectives)に掲載された。

 胎児の発達と大気汚染との関連性を示したものとしては過去最大規模となる今回の調査では、汚染度が高いほど低出生体重児が生まれる確立も高くなることが分かった。調査チームは北米、南米、欧州、アジア、オーストラリアの計9か国で生まれた300万人以上のデータを分析。データの大半は1990年代半ばから2000年代後半のものだが、それ以前のものも一部含まれている。

 調査を主導した、スペイン・バルセロナ(Barcelona)にある環境疫学研究センター(CREAL)のPayam Dadvand氏によると、生まれた時の体重が2500グラム以下の低出生体重児は、出生後数週間以内の死亡率や合併症の発生率が高いほか、成長後にも慢性的な健康問題が出る確率が高いという。

 同じく調査を率いたカリフォルニア大学サンフランシスコ校(University of California, San FranciscoUCSF)のトレイシー・ウッドラフ(Tracey Woodruff)教授(産科・婦人科・生殖科学)は、世界中のいたるところに汚染物質が存在するとしながらも、規制が厳しい国では汚染粒子の量が少ないことを指摘した。

 2.5マイクロン以下の大気汚染粒子について、米当局は基準値を1立方メートル当たり平均12マイクログラム、また欧州連合(EU)は同25マイクログラム以下と定めている。

 中国・北京(Beijing)では最近、1立方メートル当たり700マイクログラム以上の大気汚染粒子が観測された。北京と中国北部の広い地域では前月、石炭火力発電所や自動車の排ガスが原因とされるスモッグで街が覆われた。

 調査に参加したCREALのMark Nieuwenhuijsen氏は「世界の健康問題という視点から言えば、このような(大気汚染の)レベルは全く持続不可能であることは明らか」と述べている。

 今回の調査とは別に、データに含まれる子どもたちの一部を対象として、妊婦の大気汚染への暴露が子どもの成長過程にどのような影響があるのかを調べる疫学的調査が現在行われている。(c)AFP