【2月4日 AFP】水に溶けた状態の金を、微少な塊金に変える細菌を発見したとの研究が、3日の英科学誌「ネイチャー・ケミカルバイオロジー(Nature Chemical Biology)」で発表された。

「デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)」は小さな塊金の表面で頻繁に見つかる細菌。科学者らは、この細菌が金の表面に存在する理由について、金の固体化に関与しているのではないかと考えていた。だが、有毒な金イオンをどのように固体化しているのかについては分かっていなかった。

 この答えを、カナダの研究チームが発見した。細菌が分泌する代謝物が、細菌自体を有毒な金イオンから保護すると同時に、金イオンを固体化していたという。

「分泌された代謝物に有毒な金から身を守る作用があり、金のバイオミネラル化を生じさせる作用があることを示す初めての事例」と、研究チームは論文で述べている。この代謝物は中性かつ室温の環境下なら、わずか数秒でこの処理を行うという。

 論文の共同執筆者、カナダ・マクマスター大学(McMaster University)のネーサン・マガービー(Nathan Magarvey)氏は、AFPの取材に対し、この研究は実験室内で細菌を使って金を生産することが可能かどうかを示すものではないと説明した上で、そのような培養は「明らかに可能だろう」と述べた。

 水に溶けた金は目には見えず、海や地下水他、天然水源に存在する。デルフチア・アシドボランスは金の表面だけでなく、土壌や水の中にも生息しているが、何を栄養源にしているのかはまだ特定されていない。(c)AFP