【1月31日 AFP】カリブ海で、サンゴ礁の骨格を作る炭酸カルシウムの産出量が数千年前と比べて半分以下に減少しているとの研究が、29日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。数千年前と比べて、減少幅の大きいところで70%減少し、最低でも50%減少しているという。

 炭酸カルシウムはサンゴ礁を作る生物「ポリプ」によって分泌される。長い時間をかけて堆積することで、サンゴ礁は垂直に成長することができる。

 英エクセター大(University of Exeter)率いる多国籍研究チームは、バハマ、ベリーズ、グランドケイマン島(Grand Cayman)、リーワード・アンティル諸島(Leeward Antilles)のオランダ領など、カリブ海19か所の数千年前のサンゴを調べた。

 論文によると、水深5メートルほどの浅瀬では、現代のサンゴ礁の成長速度は数千年前と比べて60~70%遅かった。一方、水深10メートルほどでは、現代の成長速度は数千年前と比べて25%遅い程度だった。

 研究は、多くのサンゴ礁が、垂直に成長するのに十分な炭酸カルシウムを産出する能力を失った可能性が高いと指摘。一部のサンゴ礁はすでに、サンゴ礁の骨格を維持するために必要な炭酸カルシウムを産出できなくなっており、縮小する危険性にさらされている。

 研究結果について、エクセター大のクリス・ペティー(Chris Petty)氏は「極めて気がかり」と述べ、「将来海面が上昇した場合にそれにサンゴ礁が対応する能力」に懸念を示した。(c)AFP