【12月27日 AFP】小学校での銃乱射事件を受けて米国内で銃規制をめぐる議論が熱を帯びる中、ニューヨーク(New York)州の地方紙が26日、銃を所持する許可を得ている同州の住民3万人超の実名と住所を記載した地図を公開した。銃所有者らからは、プライバシーの侵害だなどと非難の声が上がっている。

 米新聞大手ガネット(Gannett)がニューヨーク州ウェストチェスター(Westchester)郡で発行する地方紙「ジャーナル・ニューズ(Journal News)」は、州内2郡の当局から銃器所持許可を持つ3万3000人以上の実名と住所の情報を取得。双方向型の地図を作成し、「The Gun Owner Next Door(あなたの隣に住む銃所有者)」との見出しを掲げた記事と共に掲載した。

 ジャーナル・ニューズ紙によれば、地図上に示されたうち1万3000人については、過去5年間の記録がないことから既に転居または死亡した可能性があるという。また、現在さらにもう1郡の当局に1万1000人分の情報を申請しているという。

 掲載された情報は全て、申請すれば誰でも取得できる内容。ジャーナル・ニューズ紙は「情報自由法(Freedom of Information Act)」に基づき合法に取得したものであり、読者は近隣に銃所有者が住んでいるかどうかを知る権利があるとして、掲載の正当性を主張している。

 シンディー・ロイル(CynDee Royle)同紙編集長兼副社長は、「このデータベースの公表が論争を招くことは分かっていたが、ニュータウンの銃乱射事件を受け、地元の銃所有状況について可能な限りの情報を共有することが重要だと考えた」「近所の誰が銃を持っていて、身近に何人の銃所有者がいるのか、人々は気に掛けている」などと説明した。所有する銃器の種類や数に関する情報も申請したが、こちらは拒否されたという。

 この地図をめぐっては、銃所有者を危険にさらすとの批判が相次いでいる。同紙には、身の安全を心配する人やプライバシーを侵害されたと感じた人から電話が数百件あったという。交流サイト「フェイスブック(Facebook)」の同紙のページにも賛否両論が集まっており、中には同紙や編集者の個人情報をさらす書き込みもある。(c)AFP