【12月21日 AFP】世界遺産に登録されているオーストラリア沖の世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)付近で海床の巨大な岩盤が崩壊しかけており、完全に崩落すれば津波を引き起こす恐れがあると豪研究者らが21日、警告を発した。

 豪ジェームズクック大学(James Cook University)の海洋地質学者らは2007年から、3Dマッピング技術を用いてグレートバリアリーフの海中調査を行い、数十もの海底渓谷を発見してきた。ところが最近行った調査で、大陸棚の上に体積1立方キロメートルにもなる巨大な岩盤が乗っているのが見つかったという。

 地質学者のロビン・ビーマン(Robin Beaman)氏がAFPに語ったところによると、この「巨大な一塊の岩」は「海底渓谷の頂上の斜面に食い込むように突き出しており、崩落する1歩手前の段階にある」という。

 この海床は、はるか昔に起きた「海底地滑り」の名残とみられるが、ビーマン氏によると、グレートバリアリーフで海底地滑りの形跡が確認されたのは初めて。

 ビーマン氏は、崩落がいつ起こるかは誰にも分からないと強調しつつ、注視していく必要があると話している。

「現在の海流の状況下では安定しているが、少しずつ崩れ始めている。そのうち崩壊するのは確実で、そのときには隣り合った海盆に向かって1キロメートルにわたり崩れ落ちるだろう。そうなれば、約70キロ離れた豪クイーンズランド(Queensland)州沿岸地域に極地的な津波が押し寄せることになる」(ビーマン氏)

 この発見は、学術誌「ナチュラル・ハザーズ(Natural Hazards)」に発表された。(c)AFP