【12月18日 AFP】国際エネルギー機関(International Energy AgencyIEA)は18日、中国やインドなどの巨大新興国に牽引され、今後10年以内に石炭の消費量が石油を上回る見通しとの報告書を発表した。

 世界のエネルギーの中で温室効果ガスを最も排出する石炭の割合を押し上げると見られているのは新興国における経済成長だ。IEAのマリア・ファンデルフーフェン(Maria van der Hoeven)事務局長は「エネルギー政策を変えない限り、石炭は10年以内に石油に追いつく」と声明で述べた。

 IEAの最新の予測によると、石炭の消費量は4年で石油の消費量にほぼ追いつく見通しだ。2017年の石炭消費量は石油換算で43億2000トンとなり、一方の石油消費量は44億トンになるという。石炭はほかのエネルギーよりも大量の温室効果ガスを排出するため、石炭消費増加は気候変動に影響を及ぼすことになる。

 先進国34か国が加盟する経済協力開発機構(OECD)によりエネルギー対策の検討機関として設置されたIEAは、炭素消費増加の最大要因として、OECDに加盟していない発展途上国の経済成長と近代化に伴う人口増加、さらには電力の消費量増加を挙げている。

 IEAの基本シナリオでは、2017年には、シェールガスの開発で石炭の競争力が低下した米国に代わり、発電量が急激に増加したインドが世界第2位の石炭消費国になっている。

 また2014年までに石炭消費量で世界総需要の半分以上を占めると予測されている中国では、その消費量増加と平行して、国民1人当たりの環境への負担でも米国を抜いてトップになっているとの見通しだ。

 IEAは、中国の石炭需要が年平均3.7%の増加を続け、2017年には石炭消費量が31億9000万トンに達すると予測。中国経済の成長が鈍化した場合でも、年2%の割合で石炭需要が増加し続けるだろうとした。

 IEAは、「中国といえば石炭。石炭といえば中国」とのコメントを挟みつつ、中国市場での今後の展開が世界の石炭市場の道筋を決めることになるだろうと語った。(c)AFP