【12月17日 AFP】ネパールの首都カトマンズ(Kathmandu)を壊滅させ、カトマンズ渓谷(Kathmandu Valley)の人口の3分の1と当時のアブハヤ・マッラ(Abhaya Malla)国王の命を奪った1255年の巨大地震と同じ規模の地震が、再びヒマラヤ一帯で発生する可能性があるとの研究が16日、英科学誌ネイチャージオサイエンス(Nature Geoscience)に掲載された。

 ネパール、フランス、シンガポールの共同研究チームは、インド亜大陸がユーラシアプレートに衝突している断層線に沿って河川堆積物を分析。炭素年代測定によって、ある地点の土壌の移動が1255年7月7日に起きた巨大地震により引き起こされたことを突き止めた。

 そこでは約680年後にもう1度、表層地層が破壊される出来事があり、それには1934年のマグニチュード(M)8.2の地震が関係していることも分かったという。インドプレートとユーラシアプレートの衝突によって地表地震断層が発生したという証拠は、これまで確認されていなかった。

 地表地震断層を生じさせる地震は、規模が非常に大きいだけでなく、たまったひずみの全てまたは大半を一気に解放する傾向が強い。一方、震源が深く地表に断層を生じない地震はより高い頻度で発生しがちだ。

 研究チームは、今回調査した断層で次に巨大地震を引き起こすだけのひずみが蓄積されるまでには、恐らく数世紀かかるだろうと予測している。ただ、次の地震までの間隔が非常に長いため、過去の地震の記録が残されなかったり分析が行き届かない恐れがあるとして懸念を表明している。

 研究チームはまた、今回の発見はヒマラヤの他の場所でも巨大地震による地表地震断層が存在する可能性を示唆しており、今回調査した場所以外にも、断層に沿って巨大地震の危険性が潜んでいる可能性があることも指摘した。(c)AFP