【10月31日 AFP】米東部に上陸し各地で猛威を振るった温帯低気圧サンディ(Sandy)による送電網被害や水位上昇の影響で30日、米東部の原発3基が停止したほか、1基が警戒宣言を出した。

 昨年3月11日の東日本大震災による津波で冷却機能を失った東京電力(TEPCO)福島第1原子力発電所のような事故が心配されているが、関係当局は市民らへの危険はないと説明している。

 ニュージャージー(New Jersey)州の原発運営会社PSEGニュークリアー(PSEG Nuclear)は、悪天候によりほとんどの水循環ポンプが使えなくなったため、同州デラウェア川(Delaware River)沿いのハンコックスブリッジ(Hancocks Bridge)にあるセーレム(Salem)原発1号機が停止したと発表した。

 またニューヨーク(New York)州でも、スクリバ(Scriba)のナインマイルポイント(Nine Mile Point)原発1号機、ブキャナン(Buchanan)のインディアンポイント(Indian Point)原発3号機が停止した。インディアンポイント原発を運営する米電力会社エンタージー(Entergy)は、「外部送電網の問題」が原子炉停止の理由に挙げている。

■米最古の原発で警戒宣言

 このほか、ニュージャージー州レーシータウンシップ(Lacey Township)にある、43年前に運転を開始した米国で最も古いオイスタークリーク(Oyster Creek)原発は、周辺の水位が上がって冷却水の取水に影響が出る恐れがあるとして警戒宣言を出した。同原発は定期点検のため停止していた。

 上に挙げた以外の原発の多くは稼働を続けたが、停電などによる電力需要の変化に対応して稼働レベルを下げた原発もあった。

 米原子力規制委員会(Nuclear Regulatory CommissionNRC)は、サンディによる暴風雨の間、継続して全原発の監視を続け、これまでのところはメルトダウン(炉心溶融)の危険はないと説明している。また同委員会は30日夜、オイスタークリーク原発の周辺の水位は下がりつつあり、同原発への脅威は少なくなったと発表した。(c)AFP