【10月10日 AFP】多発性硬化症の患者の筋肉硬直の治療に大麻抽出物を使用すると、硬直が軽減されるとの研究結果が、9日の専門誌「神経学・神経外科学・精神医学ジャーナル(Journal of Neurology, Neurosurgery and Psychiatry)」に発表された。

 英国人患者約280人を対象に12週間にわたって行われた大麻を使用した治験の最終段階では、患者は2グループに分けられ、一方には偽薬が、もう一方には大麻の有効成分であるテトラヒドロカンナビノールの錠剤が毎日与えられた。量は最初は2.5ミリグラムから始めて25ミリグラムまで2週間をかけて徐々に増やしていった。

 治験の最後に、筋肉のけいれんについて患者に質問したところ、軽減したと答えた人は偽薬のグループでは15.7%だったが、テトラヒドロカンナビノールを与えられたグループでは29.4%だった。またテトラヒドロカンナビノールのグループでは、睡眠の質が向上したという回答も報告された。一方、神経系や胃腸の障害が副作用として報告されたが、いずれも深刻ではなかった。

 多発性硬化症では、患者の最大90%が痛みの伴う筋肉の硬直を訴える。硬直が原因で寝不足や体の動きの障害を訴える人も多い。

 治験を行った英国の「臨床神経学研究グループ(Clinical Neurology Research Group)」は、麻薬抽出物の投与量を標準化すれば、多発性硬化症による筋肉の痛みやけいれんに役立つ可能性があると述べている。(c)AFP