【9月16日 AFP】医師の手書き文字は読みにくいことで知られているが、インド西部マハラシュトラ(Maharashtra)州では医師団体がこうした悪筆を懸念し、筆跡に対する意識を高めて致命的な医療ミスを防ぐ活動に乗り出した。

 活動を統括している非営利医療組織メッドスケープ・インディア(Medscape India)によると、同州の医師100人余りは先週の会合で、悪筆が最も深刻な問題の1つであることを突き止めた。

 同組織の会長を務めるスニア・ドゥーベ(Sunita Dube)医師は声明で、「医師が手書きした処方箋の読みにくさが原因で(患者が)亡くなる事例が、インド国内外で驚くほど増えている」と指摘した。

 ドゥーベ医師は同州保健当局者に書簡を送り、処方箋を判読できない薬局が小さな町や村を中心に多い実態を説明したところ、政府の支援で筆跡改善活動を展開できるようになった。同医師によると、処方箋の読み違いで「誤った薬が患者に調剤され、死亡もしくは生命に危険が及ぶ症状につながる事例が多い」という。

 メッドスケープ・インディアは医師がすぐ参照できる手引書を作成するとともに、手早く読みやすい文字を書く簡単なテクニックを伝える小規模のワークショップを開催する計画。同医師は「命を救えるようにするためには正確な調剤が必要」として、医師らにアルファベットの大文字で(処方箋を)手書きし、薬剤の参考書で綴りを確認するよう促している。

 同医師は、綺麗な文字を書くことにより、訴訟も防げるとコメント。「(悪筆に絡んだ)ジョークをよく聞きますが、冗談は別にして、わたしたちはこの問題に真摯(しんし)に取り組んでいます」と語った。(c)AFP