【5月25日 AFP】ニュージーランド最大の「アルパイン断層(Alpine Fault)」の地中深くで、最大で30分にわたる揺れが複数回観測されていたことが、今週発行の米専門誌ジオフィジカル・リサーチ・レターズ(Geophysical Research Letters)で発表された。

「クリープ」と呼ばれるこれらの揺れを観測した科学者らは、同国の南島(South Island)地下を走るこの断層ではなぜ大きな地震があまり起きないのか、その理由について調査をしていた。

 地震学者のAaron Wech氏は、クリープと将来の地震発生との関連性についてははっきりしないとしつつも、詳しく調べることでアルパイン断層が引き起こす地震の可能性を考える際に役立つと述べている。

 今回観測されたクリープは深さ20~45キロで発生し、最大で30分にわたり続いたものもあったが地表への影響はなかった。一方、前年2月に南島クライストチャーチ(Christchurch)で185人の犠牲者を出したマグニチュード(M)6.3の地震では、震源の深さは約5キロで揺れた時間は37秒間だった。

 クリープは通常の地震計では観測することができないため、ビクトリア大学ウェリントン(Victoria University of Wellington)の研究者らは深さ100メートルの地中にセンサーを設置して観測を行った。

 今回の観測結果により、大きな地震が起きていない間もアルパイン断層は常に動き続けていることが判明したとWech氏は述べている。

 ニュージーランド地質核科学研究所(GNS Science)の推定では、アルパイン断層はM8.0以上の地震を過去900年間で4回引き起こしている。また最後に起きた大地震からはかなりの時間が経過していることから、向こう40年間で大地震が発生する可能性も高いとしている。(c)AFP