【11月8日 AFP】インド・ニューデリー(New Delhi)の遺伝子工学バイオテクノロジー国際センター(International Centre for Genetic Engineering and Biotechnology)は7日、結核菌を呼気から検出できる「電子鼻」が完成間近だと発表した。

 この「E-Nose」は電池式で、片手に収まるサイズ。警察が飲酒運転の取り締まりで使用する呼気検査機に似ている。

 装置に息を吹きかけると、センサーが結核のバイオマーカーを検出する。そのため、ほぼ即時に、精度の高い診断を行うことができる。

 E-Noseは米カリフォルニア(California)州のネクスト・ディメンション・テクノロジーズ(Next Dimension Technologies)との共同開発。研究リーダーのランジャン・ナンダ(Ranjan Nanda)氏は「2013年10月までに試作品の臨床試験にこぎつけたい」と話した。

 結核による死者は、世界で毎年約170万人。中でもインドは1日あたりの死者数が約1000人と突出している。研究チームは、E-Noseで早期の発見および治療が可能になり、結果的に伝染も抑えられるため、開発途上国で年間40万人の命を救うことができると試算している。

 現行の診断法は喀痰(かくたん)検査で、これは費用がかかる上、結果が出るまでに数日かかる。

 E-Noseは、値段が20~30ドル(約1600~2300円)程度に収まる予定。電気もなく貧しいインドなどの農村部への普及も見込まれる。また、この技術が肺がんや肺炎などの早期発見にも有用である可能性が研究で示されているという。(c)AFP