【10月26日 AFP】炭酸飲料を飲む量と10代の暴力行為に関連性を見出した米ハーバード公衆衛生大学院(Harvard School of Public Health)の研究チームによる調査結果が25日、英専門誌「Injury Prevention」に掲載された。

 あくまでも「統計上」の結果ながら、研究チームがボストン都心部で行った調査結果によると、炭酸飲料(ダイエット飲料は除く)を週6缶以上飲む高校生は、それ以下の高校生よりも暴力行為に関与する確率が9%から15%高かった。

 調査は、富裕層が住む郊外よりも犯罪率が高いボストン(Boston)都心部の公立校で、14歳から18歳までの生徒1878人を対象に質問票形式で行われた。回答者の大多数はヒスパニック系、アフリカ系、もしくは両者の間に生まれた生徒で、アジア系と白人の生徒は少数だった。

 質問票では、過去1週間にダイエット飲料ではない炭酸飲料を355ミリリットル缶に換算して何本分飲んだかや、飲酒や喫煙経験、銃やナイフの所持、同級生や家族や恋人に暴力をふるった経験の有無などを尋ねた。

 その結果、研究チームは高校生らの炭酸飲料の摂取量と、暴力行為の間に強い相関関係があることを発見した。暴力の対象は仲間同士のみならず、デートの相手や兄弟姉妹にも及んでいた。

 研究を主導したデービッド・ヘメンウェイ(David Hemenway)教授は、「明確な相関関係がみられたことは、私たちにも衝撃だった」と、AFPに語った。

 調査結果によると、炭酸飲料の摂取量が1週間で1本以下だった生徒では、銃かナイフの所持率は23%、恋人への暴力行為経験は15%、同級生への暴力行為は35%だった。

 これに対し、炭酸飲料の摂取量が1週間で14本だった生徒では、銃・ナイフの所持率43%、恋人への暴力行為27%、同級生への暴力行為58%以上と、全て大幅に上回った。

 調査結果は、以前の研究で明らかになった飲酒や喫煙との相関の度合いと酷似している。

 その理由は不明だとしながらも、ヘメンウェイ教授は「何らかの因果効果はあるのかもしれない。加えて、ほぼ確実に言えることは、これは他の問題の目安にすぎないということだ。いかなる理由であれ暴力をふるう思春期の子どもたちは、飲酒や喫煙に走りがちなだけでなく、おそらく炭酸飲料もたくさん飲むのだろう。理由はわからないが」と語った。 

 この調査結果から思い起こされるのは、1978年にゲイの権利活動家ハーベイ・ミルク(Harvey Milk)を殺害したダン・ホワイト(Dan White)の裁判だ。ホワイトは殺人罪で起訴されていたが、弁護団がホワイトの行為は「ジャンクフードの食べすぎによるものだ」と主張。ホワイトの判決には、軽減された過失致死罪が適用された。

 複数の調査でも、糖分の過剰摂取と、社会的な絆の欠如や反社会的行為との間に関連性があることが確認されている。

 食習慣に関する調査でも、微量栄養素が欠乏すると攻撃的になると指摘しているが、この調査は、まだ初期段階にすぎない。(c)AFP/Richard Ingham